【ウイスキーは色が濃い=長期熟成は嘘!?】色の違いの原因やカラメル着色などについて解説

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ウイスキーは香りや味を楽しむのはもちろん、綺麗な琥珀色を見ても楽しむことが出来ます。

そこでよく聞く話があります。

「ウイスキーの色が濃いと、熟成年数が長いから美味しいでしょ!」

しかしこれは間違いです!

今回はウイスキーが琥珀色になる理由、色の濃さが違う理由、着色について解説していきます。

目次

ウイスキーが琥珀色になる理由

ウイスキーは穀物を蒸留して作られる蒸留酒なので、最初は無色透明です。

蒸留された後は樽に詰められて数年、長いものだと数十年熟成されます。

熟成の過程で、樽成分である、リグニン、ポリフェノールなどと共に色素もウイスキーに移っていきます。

つまりこの綺麗な琥珀色は、樽由来というわけです。

ただし、これだけがウイスキーの色を決める要因ではありません。

色が濃くなる要因は3つあるので、詳しく解説していきます。

色が濃くなる要因①熟成年数の違い

宮城峡蒸溜所の展示

まずは皆さんご存じの通り、熟成年数が長ければ長いほど色が濃くなります。

写真は私が以前宮城峡蒸溜所見学ツアーに行った時のものですが、とても分かりやすいですね。

左の未貯蔵原酒は無色透明、真ん中の熟成5年は明るい琥珀色、右の熟成12年は赤くなっています。

熟成年数が長いほど原酒が樽に接しているので色素成分が溶け出すというわけです。

何十年も熟成しているウイスキーは、グラスに入れて眺めるだけでも熟成感を楽しむことが出来ます。

色が濃くなる要因②熟成する樽の違い

実は樽の種類によっても色の濃さに特徴が出ます。

樽の種類と言ってもいくつか違いのベクトルがあるので、3種類に分けて説明します。

前にその樽で熟成されていたお酒の違い

まずは使われる樽にもともと入っていたお酒による違いです。

多くのウイスキーは以下のシェリー樽、またはバーボン樽を使って熟成されています。

シェリー樽:色が濃い!(赤茶色)

シェリー樽とは、スペインで作られる酒精強化ワインであるシェリーに使われた樽です。

シェリーの色がかなり濃い分、シェリー樽で熟成されたウイスキーも色が濃くつきます。

↓アランシェリーカスクはその名の通り、全てシェリー樽で熟成された人気のシングルモルトスコッチウイスキーです。色が濃い!

バーボン樽:色が薄い

バーボン樽とは、アメリカで作られるバーボンウイスキーに使われた樽です。

バーボンは法律で新しいホワイトオークを使う必要があり、内側を焦がさなければいけないと定められています。

↓グレンモ―レンジオリジナル10年は、全てバーボン樽で熟成されたシングルモルトスコッチウイスキーです。透き通るオレンジ色!

新樽かリフィル樽か

樽がウイスキー熟成に何回使われたかによって、色の濃さは変わります。

初めて使う樽(新樽)は樽成分が十分に残っている分色は濃くなります。

なので基本ジムビームのようなバーボンウイスキーは色が濃くなっています。

対して2回3回と使われる中古の樽(リフィル樽)は樽成分が既に一定数奪われている分、色が薄くなります。

例としてオールドプルトニー15年はセカンドフィルのバーボン樽、ファーストフィルのシェリー樽で熟成されています。

樽の大きさの違い

白州蒸溜所の展示

熟成される樽の大きさによっても色の濃さは変わります。

樽が小さいほどウイスキーの樽接触面積が大きくなるので、色は濃くなりやすいです。

では小さいほど良いのかと言うとそうでもなく、長期熟成に向かなかったり生産量が減ったりとデメリットもあります。

ウイスキーの樽サイズは多種多様で、45L~700Lとかなり大きさが異なり、それぞれ名前がついています。

代表的なものだと、180Lのバレル(主にバーボン樽に使用)、500Lのバット(主にシェリー樽に使用)などがあります。

色が濃くなる要因③カラメル着色

意外と知らない人が多いですが、ウイスキーは着色されているんです!

正確には、同じ商品でも見た目にばらつきが出ないように、決められたカラメル色素での着色が認められています。

着色されても味はほぼ変わらず、品質も変わらないとされています。

日本の酒税法二条十五項ハには、ウイスキーの定義として色素を加えてもいいことが記されています。

またウイスキーの聖地スコットランドの法律では、E150aというスピリットカラメルのみ使用可能とされています。

ではバーボンウイスキーはどうかというと、なんと法律で着色が禁止されています。(一部例外あり)

理由はバーボンは新樽を使わなければならず、着色しなくても色が濃くなるからです。

着色されているウイスキーは基本どこにも着色さえれていると書かれていないのでわかりませんが、ほぼ着色されていると思った方がいいでしょう。

逆に着色されていないウイスキーはアピールポイントになるので、しっかりとラベルに書かれていることが多いです。

いくつか無着色と書かれているウイスキーをご紹介します。

↓日本の秩父蒸留所で生産されているワールドブレンデッドウイスキー、イチローズモルトはラベルにNon Coloured(無着色)と書かれています。

↓ブルックラディはボトルにCOLOURING-FREE(無着色)と書かれています。

↓キルホーマンはラベルにNATURAL COLOUR(無着色)と書かれています。

まとめ:色が濃ければ長期熟成されてるとは限らない!

今回はウイスキーの綺麗な色について解説しました。

ウイスキーの色を視覚することで感じ方も変わってきますが、思い込みで判断してしまうのはもったいないですね。

飲む人の好みはそれぞれですし、メーカーのこだわりもそれぞれなので、楽しめたらOKです。

熟成年数や色にとらわれ過ぎず、自分好みのウイスキーを探して楽しんでいきましょう。

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